「医者を“殺すな!”」

先日、医師の労働組合「全国医師ユニオン」が結成されたとのニュースを目にした。
「過労死を招く過剰勤務をなくす」「当直を時間外勤務と認めさせる」「主治医制を担当医制へ変えさせる」の3本柱をスローガンとし、勤務医の待遇改善に取り組むとのことだ。

ちょうど「医者を“殺すな!”」という本を読んでいたので、実にタイムリーなニュースだった。
本書では、ある研修医の過労死から問題提起をしている。彼は毎日15時間以上働き、月の総労働時間は、法定労働時間を200時間以上オーバーしていたとこと。その対価は月額6万円の奨学金と「日宿直手当」のみ。そして、研修開始後わずか2か月で亡くなってしまった。
社労士でもある彼の父親が労災申請しようとすると、「医師は労働者ではない」という、意外な「壁」の存在に気づく。そこで父親は裁判を起こす。

…いやぁ、こんな無茶な話があるだろうか?
どう考えても、労働者でしょ。「聖職者」としての心構えは大事かもしれないけど。

読み進めていくと、研修医は相当のストレスにさらされていることが分かる。
労働時間の長さ、自分の能力以上の役割を任される負担、そして新人社会人としてのストレス。そして追い込まれ、鬱になるケースが多いのだとか。

しかし疲弊しているのは、研修医だけではない。勤務医だって十分過重労働だ。本書が指摘している「過重労働になる理由」は次の4つ。
 1.仕事量や労働密度が増えた
  (患者の期待レベルの高まり、医療技術の進歩、病院経営の厳しさ等)
 2.深夜の受診が増えた(15年で4割増)
 3.勤務医の年齢構成の変化(高齢化)
 4.医師の意識(「患者のために」を叩き込まれている)

しかし、一市民としては、ヘトヘトに疲れたお医者さんに診てもらいたくないし、手術なんてとても任せられない。日本の医療が、「聖職者」によってギリギリのところで支えられている現実が変わらなければ安心できない。
ユニオン設立によって、医療現場が少しでもよくなることを願いたい。
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by miki_renge | 2009-06-14 10:02 | 雇用・人事
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