先送り

雇用大崩壊 サラリーマンがなくなる日」という本を読んだ。
「雇用大崩壊は(非正規社員ではなく)正社員から始まった」「景気がよくても毎月30万人以上が失業していた」など、マスコミ報道とは違った冷静な分析がなされていて、興味深く拝読した。

そのなかで、「雇用調整助成金」について触れられているパートがあった。
この助成金は、ものすごく簡単に言えば、「企業が、不況でお休みしてもらっている労働者に支払う手当を、政府が補填してくれる」もの。失業率の上昇に歯止めをかけたと一定の評価がなされている。
が、本書では、この助成金を「とりあえず失業予備軍を企業に押し込んでいる」とばっさり。ニッセイ基礎研究所主任研究員の斎藤太郎氏の「この助成金で失業を抑制する代償として、労働力の異動が止められる。衰退産業に労働力をとどめてしまうことになる。」という意見を紹介している。

ここを読んで、ふとその前に読んだ、「生かし屋~再生コンサルタントの苦悩」に書いてあったことを思い出した。ここでも、「斜陽産業を再生することで産業構造の転換を阻むことになっているのでは…」といった内容のことが述べられていたように記憶している。

目先のことを考えれば、失業は少ない方がよい。でも、そうやって何でも先送りしてきたから、皆が今苦しんでいると指摘されれば、反論の余地はない。

雇用調整助成金も。
あるいは、中小企業の借入返済猶予策も。
もちろん、一時的に困っている企業を救うのには実に有効な策と言えるだろうが。

ただ、「もう先送りは止めよう!」と言う前に、やはりセーフティネットの充実や、そもそも今の雇用システムの変革が必要なんだろうなぁと思う。新卒一括採用、解雇規制、職業訓練…メスを入れるべきものはたくさんある。
あぁ、こんなことを言っているから、結果的に「先送り」になっちゃうのかな。
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by miki_renge | 2010-04-28 20:37 | 社会・経済一般
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