「努力で幸せになれますか」

勝間さん、努力で幸せになれますか」という本を読んだ。
勝間和代さんと香山リカさんの対談をまとめた本だ。アマゾンのレビューを読むと、「買うほどの本ではない」というような印象だったため、図書館で予約して辛抱強く待った(笑)

読んでみて、確かに「こりゃ、噛み合ってないわ」と思った。
まぁ、この「噛み合わなさ」が面白いと言えば面白かったのだが。

勝間氏の主張は、
・努力は楽しいもの
・努力すること自体に幸福を見出せるはず
・自分は、その努力の仕方を教えているつもり
・ただし、努力することが目的化してしまうのは危険
というもの。それに対して香山氏は、「頑張らないという選択肢もあるんじゃない?」と異議を唱えている。

確かに今の世の中、「努力したその先に何があるんだろう?」というものが見えにくいのだと思う。頑張ってもまだ不安、「勝ち組」に分類された(と評される)人でもいつ負けるかも分からないから、怖くて果てのない努力をし続けて疲れきってしまう、のだろう。
特に、ネットの普及で「小さな幸せを感じることが難しくなってきている」という香山氏の主張には納得。本書では、「ピアノで何かの賞をとったという若い患者さんをおだてても、『何言ってんですか、先生。こんな賞、世界のランクじゃどれくらいで、日本ではこれより高いランクの受賞者が何人いて』と説教される」というくだり(p.52)に、「自己肯定感を持ちにくい世の中」になったと実感する。香山氏は精神科医としてそのような人に数多く接しているのだろう。

こう書くと、「香山派ですね」と言われそうだが、そういうわけでもない。やはり「努力できる環境にありながら、全く努力しない人に対して、温かく手を差し伸べられるか」と問われれば、答えはノーだ。セーフティネットだって皆の税金から作られるシステム。それを安易に「努力したくない人」に回して欲しくはない。

その関連で残念だったのは、香山氏が、「頑張らない人」と「何かのアクシデントによって頑張れない人」を一括りにしてしまったこと。健康を損ねたり、親の介護が必要になったりして「頑張れない状況になった人」は多いと思う(統計はない、体感的に思っただけだが)。さらにそれに対して勝間氏は、「アクシデントは可能性の問題で、運や偶然も左右することは理解しておく必要があります」(p.82)と答えるにとどまっているが、この議論はもっと深めて欲しかった。

結局、「努力で幸せになれるか」は分からなかったが、いろんな読み方ができる本ではあった。

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by miki_renge | 2010-12-04 15:51 | 社会・経済一般
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