使命感とワークライフバランスと:「神様のカルテ」より

「神様のカルテ」「神様のカルテ2」読了。

舞台は信州の「24時間、365日対応」の本庄病院。主人公の若き内科医、栗原一止は、日夜患者のために走り回る。大事な人の死、地域医療の危機など、重いテーマを扱っているのだが、漱石もどきの栗原先生の語り口がユーモラスなため、ときどきクスッと笑える(私より先に読んだ長女は爆笑していた。)
栗原先生もかなりの変人に見えるが、その周りにいる人もまた魅力的。妻で写真家のハルさん、絶妙なコンビネーションの大狸先生と古狐先生、外科医の次郎先生、「影のボス」東西看護師、現代にこんな住処はあるか?と思えるような御嶽荘の住人達…

読んでいて改めて思うのは、医療現場の過酷さである。
この本で描かれている栗原先生の勤務実態は、誇張でも何でもないだろう。たとえば当直。救急患者が途切れなければ、仮眠を取ることもなく、翌朝は通常勤務に入らなければならない。1人で数十人の患者を受け持ち、しかもその患者が危険な状態になれば、何日も病院に泊まり込む。休み中だって連絡が入ることはしょっちゅう。

「2」では、東京の大学病院から信州に戻った、辰也先生のお話に心が抉られる。
辰也先生の奥様(医師)が、「丸1年、1日も休まず白血病の子供を診ていたのだが、1日だけ体調不良で休んだ日の翌日、その両親から“患者のために命がけで働くのが医師の務めじゃないか”と罵倒され、主治医を交代させられた」というエピソード。
昼も夜もなく働き続ける医者は立派なのか?「医者が命を削り、家族を捨ててまで患者のために働くことを美徳とする世界、夜も眠らずぼろぼろになるまで働くことを正義とする世界」はおかしいと激昂する辰也先生。そう、お医者さんだって人間だ。スーパーマンではない。

でも一方で、大狸先生と古狐先生のように、身内の悲しい経験から、「この町に、誰もがいつでも診てもらえる病院」を作りたいという思いも分かる。
さわやかな読後感のなかにも、確かな問題提起。自分が病気になったら本庄病院のようなところにかかりたいと願いつつ、お医者さんにも家族がある、生活があるということを忘れないでいようと思った。

他にも書きたいことはあるのだが、8月27日公開の映画のネタバレになるのでこの辺で。
映画では栗原先生は翔さんが演じる。そしてテーマ曲は盲目のピアニスト、辻井伸行さん。音楽は高校の後輩、松谷卓さん(←会ったことはないけれど、同じ部活だったらしい。)長女と行ってきます!
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by miki_renge | 2011-07-03 10:37 | ジャニーズ
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