障害児の母とジェンダー

重度障害児家族の生活 ケアする母親とジェンダー」という本を読んだ。

障害児・障害者が抱える問題はクローズアップされることが多いが、その家族については、世間はなかなか目を向けようとしない。私自身、以前からそれを不満に感じていた。本書でも、
介護全般や育児においては、固定的性別役割の解消が謳われているものの、ここでも障害児の母親の存在は、子どもの特性ゆえに度外視されている。(中略)障害児の母親は、個々人の特性や意思を問われることなく、心身共に強い母親、養育熱心な母親であることを期待されている。障害児への献身的な関わりは、あるべき母親像として捉えられ、そこにジェンダーの問題が潜在していることは見落とされてしまう。

と述べられているが、その通りだ。

うちの娘は重度障害ではないが(歩けるし、一応の会話もできるし)、それでも本書で述べられている「障害児母の実情」は共感できた。
通院や療育機関、学校への付添いといった物理的な役割。
意思表示できない子どもの代わりに発言し続ける役割。
そして最終的には、自立させるべく成長を促す役割。
残念ながら、夫をはじめとする親族の協力が得られないケースも多々ある。きょうだいがいれば、障害児だけに関わるわけにもいかない。母親は孤軍奮闘を迫られる。

この役割の重さを考えると、当然、母親自身の自己実現(仕事など)は遠い夢となってしまう。健常児であれば、仮にいったん仕事を辞めたとしても「子どもの手が離れたら」と希望を持てるが、障害児の場合いつ手が離れるか分からない、一生離れないかも知れないのだ。そこで働くための条件整備をするなんて、気が遠くなりそうだ。

本書の筆者は、「母親を支援することで障害児の生活を保障するのではなく、子ども本人への支援を強めることで母親支援を薄めていくべきである」という見解を示している。私もその意見には賛成だが、どれだけの時間がかかるんだろう、とため息が出てしまう。やはり、一方で健常児母がまず働きやすくならないことには、どうにも変わらないかもね。

それにしても…障害児母のネットワークの強さ(世界の狭さとも言い換えられるかも?)の指摘にはつい笑ってしまった。私も、区内で長女と同年齢の障害児さんについては、実はだいたい把握している。あと、養護学校のPTA役員は、確かに人数が少ない分大変そうだ。このネタだけで、ブログ記事が一本書けそう^^;
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by miki_renge | 2012-08-02 18:46 | 家族・育児
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