「一まいの卒業証書」

ちょうど私が長女と同じ小学3年生のときに読んで、ずっと心に残っていた本がある。
縁あって、最近、その本と再会することができた。
タイトルは、「一まいの卒業証書」。実話である。

戦後すぐの東京。両親を亡くし、浮浪児となっていた山本少年が、果物屋に引き取られ、また偏見を乗り越え、小学校に通えることになる。
果物屋でかわいがられ、仲間たちと楽しく過ごしつつも、亡くなった両親や浮浪児仲間のことを思い出すのか、それからしばらく経ったある花火大会の夜、行方不明になってしまう。
そして、それっきり…
当時、担任であった金沢先生をはじめ同級生は懸命に探すのだが、彼の消息は分からない。同級生の、「みな一緒に卒業したい」という望みは叶えられなかった。

金沢先生がこの本を書いたのは、長い教員生活を終え、退職するとき。先生は大事に彼の卒業証書を取っておいたのだ。本の最後には、
「山本数行を知っている人があったら、ぜひ教えてくださいませんか、おねがいします」
と記されている。
山本少年が行方不明になったのは昭和25年、本の発行は昭和52年。時代の流れは残酷だ。ネットで調べてみたら、金沢先生は既に亡くなっていた。そして少年と再会できたという情報はどこにもなかった。

長女も、かつての私と同じく、この本を一気に読んだ。読み終えて開口一番、「この人、どこかで生きているよね」と言った。私もそう信じている。昭和9年生まれの山本数行さん、もう70歳を過ぎているのだが、きっとどこかで、幸せに暮らしているはずだ。

古い本なのでもう絶版かも知れないが、図書館を探せばあるかも。
金沢先生については、こちらのサイトが詳しい。金沢嘉市さん、素晴らしい教育者だったんだね。今の教育現場を目の当たりにしたら、いったい何と言うだろう。

もう一つ。長女は昨日、児童館で「一つの花」の映画を観てきた。この映画は昨年も観ているのだが、昨年とは違った感情が湧いてきたようで、いろいろ話をしてくれた。
金沢先生や山本少年、ゆみこちゃん達の体験、無駄にしないようにしないと。
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by miki_renge | 2008-08-07 13:33 | 社会・経済一般
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