産科医の先生が元気でいられるために

産声が消えていく」という本を読んだ。産科医の太田靖之氏によって書かれた小説である。

主人公の菊池は、「病の発する独特の雰囲気を苦手に感じていた」ことから、比較的それの少ない産婦人科の分野を志した。「いかなる患者も診る」という診療方針を掲げた総合病院に入職したが、過重労働に耐えかねた先輩医師の相次ぐ退職により、いわゆる「一人医長」となる。
優秀な助産師の協力を得て、24時間365日拘束で奮闘する菊池だが、やはり無理があった。「自然なお産」などの特徴を出し、患者からの評判が上がることで、かえって仕事は忙しくなり、菊池もスタッフも疲弊していく。

産科を閉鎖すると決意して最後のお産を取り扱っているときに、「飛び込み分娩」があった。そちらをケアしている間に、本来対応すべきお産でトラブルがあり、新生児に重い障害が残り、菊池は1億を超す支払いを求める訴訟を起こされる。

…とまぁ、何ともやり切れない物語だ。
でも、このやり切れなさは、決してこの物語だけのものではないだろう。全国の産科で起こっている問題だからこそ、筆者はそれを知らしめたかったのだと推測する。

産科医。割に合わない職業なんだろう。
医療の発達で、「赤ちゃんは無事に生まれて当たり前」と思われるようになった。
その期待に応えるために、自分の生活、そして命を犠牲にして取り組む医師。本書の中で、「医師の平均寿命は一般の人と比べて10年短い。産科医はさらに10年短い」という記述があったが、このデータはフィクションではないだろう。
日本の産科医療は、彼らがこうして働いていてくれるからこそ、ギリギリの状況で持ちこたえられている。しかし、彼らが限界を超えてしまったら…?

ふと、長女、次女の出産の際にお世話になった女医さんのことを思い出した。
私がハイリスク妊婦だったことから、思いがけず長いお付き合いとなった先生。
「ニコニコしている人が多いから、私は産科を選んだのよ」と話していたっけ。
素敵な先生だったけれど、その先生自身も出産され、病院を去ったと聞いた。

先生達がいつもニコニコしているために、そして患者である私たちが気持ちよく医療を受けられるように、何ができるんだろう。
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by miki_renge | 2008-09-21 15:08 | 社会・経済一般

高校生と小学生の娘を育てながら働く主婦。中小企業診断士・社会保険労務士。静岡出身、東京在住。SMAPとKAT-TUNを応援中。


by miki_renge

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